2010年6月7日月曜日

諫早市立図書館とたらみ図書館

2008年4月26日(土)午後
対応:平田館長、古川副館長
諫早市図書館の揺籃期は明治期日本を代表する歌人、ハンセン病を得た後も文学活動を貫いた野口寧斎が、地元の有志とともに明治37年に創設した諫早文庫がある。
市民要望などを受け、市民センターの一部を使用していた図書館を、平成13年現在の地に新設移転した(述べ床面積7405平米)。
平成17年近隣5町と合併し、多良美(たらみ)図書館(3339平米)、森山町立図書館(1893平米)が改めて市立図書館となる。他に、西諫早図書館(726平米)、高来図書室、小長井図書室、飯盛図書室。公民館図書室としては8箇所。自動車文庫は、多良見とあわせ2台所有。どんぐり号は4000冊積載可能。施設単位の巡回を、主に月1回の配本と学期に1回の配本(保育所)を組み合わせてまわっている(30箇所)。図書館管理システムは18年1月に完成、インターネット予約を開始している。また、7館を一日1巡回配本車が回っている。

地上2F、地下1階。1Fが事務室、開架部分。中央サービスデスクを囲んで、一般、児童開架フロアーがこれを囲むようにしてある。一般開架室は吹き抜け(柱がない)構造で証明も自然証明。他に、伊藤静雄、野呂邦暢を記念するコーナー、ビジネス情報コーナー、子どもの文化の研究コーナーなどがある。
2Fは、視聴覚ホール、集会室、学習創作室、和室、ボランティア室、郷土史料室など集会機能。
他に視聴覚ライブラリーを持つ。嘱託1以外は、図書館が兼務。地下にBM機能、駐車スペース90台を用意する。
図書館長は嘱託館長であるが6年目(名誉館長として市川森一氏を推戴)、他の館長も嘱託。職員12名(司書6名)嘱託12名、臨時7名の体制。正規1:非正規2の体制。
蔵書24万点、貸出し56万点。財政的な特色としては、図書購入基金として市民の寄付金など3億円がプールされており、適宜活用し資料費の漸減に歯止めをかけている。

市民要望を受けた図書館を意識した取り組み方として、近くの商店街との連携交流を意識している。図書館利用者団体連絡協議会を結成し、図書館フェスティバルを毎年開催している。参加団体として図書館友の会、読書会、ボランティアの会、絵本の会、学校図書館ボランティア<心の種>。また、市川名誉館長がらみの企画として、シナリオ講座を定期開催し、地元のFMでも放送している。

文化事業として、年10回の図書館講座、年4回のシナリオ講座、子どもの時間(月2回)同012(月1回)、絵本原画展、講演会、手作り絵本教室など。
共通事業として、19年4月よりブックスタート事業を行っている。乳幼児健診時の読み聞かせの説明と実演などを行う。(毎月)

集会機能について、諫早市の図書館の特色として集会機能を併せ持つところが多いことから、会議室などの使用については有料化を図っている。時間貸しであり会議室、和室などは1時間300円程度(冷暖房費含む)。視聴覚ホールは時間1,500円程度となっている。
法17条との関係で疑問なしとはしないが、図書館関係団体に対しては無料の原則を貫かれるべきと思われる。


諫早市立たらみ図書館
4月26日午後 対応:松永館長、相良裕主任

1 なぜ、たらみ図書館なのか
小郡図書館の永利氏の紹介もあり、どうしても見学しておこうと思っていたところであるが、大変参考となった図書館であった。平成17年に1市5町が合併し、多良見町立図書館が諫早市立たらみ図書館となる。森山町立図書館も同様である。たらみ図書館は町の中心からは外れた海に近接した場所に位置する。近くに市立体育館がある。
職員は、正規5名うち有資格2名。13名が嘱託職員。蔵書10万冊。貸出し38万点。
1Fが開架スペースと事務室、BMスペース、喫茶室、一部会議室。2Fが開架書庫、集会機能。  
面積は3340平米。地上2階建。建物の設計管理を、プロポーザル方式での選考で寺田・大塚・小林計画同人が担当した。寺田氏は、伊万里図書館の設計責任者である。

2 図書館づくりのコンセプトは
設計協議プロジェクトや図書館作りフォーラムなどで徹底的な市民参加を採用した図書館作りを行う。特色として、図書館本体部分の書架は展示スペースを随所に織り交ぜた前頭葉刺激装置に満ちた仕掛けを作った。これは、伊万里市立図書館で採用したものをさらに進化させている。
総合カウンター以外に、ヤングアダルト・児童コーナーおよび郷土・行政コーナー付近に計2箇所の相談カウンターを設ける。
ヤングアダルトコーナーを思い切り広く取り、彼らの集いの場を与えている。貝のお話室、ヤングアダルトでのペイロン船展示、子どもコーナーの紙芝居書架をペイロン船に変形、など海のイメージをふんだんに盛り込んだ設計を行う。随所にある小読書スペースを作り楽しい読書へのいざないを行っている。
288人収容可能な舞台付視聴覚室(海のホール)、フリー読書スペース、静の広場(野外読書コーナー)、動の広場(入り口前のスペース、イベントなどの場所確保)会議室、和室、研修室、防音付講座室、野外スペース、喫茶コーナー、談話コーナー、展示回廊など社会教育的な要素や考えを取り入れた人と人の出会いの場をふんだんに設けている。また外側概観は、海の回廊(入り口へのいざない)などなど、これまでの寺田ワールドの集大成とも言える水準を確保している。
ちなみに、図書館全体のキャッチフレーズは「海からの贈り物」である。

3 たらみ図書館の事業展開
このような、コンセプトを持った図書館のイメージを具現化するものとして、職員やボランティアによるイベントがある。
貝のお話し室での幼児向けお話、海のホールでのストーリー・テリングや、高校生や大学生による演劇やミュージカル、屋上野外劇場(海と星の照らす劇場)での夜のお話会やお月見会、動の広場でのミニコンサート(毎月1回)、展示回廊での展示会・企画展、読書会、映画会など実に盛りだくさんの催しである。ボランティア養成講座は4回の講座を毎年組んでいる。
子ども読書の日(4月23日)は図書館祭り、開館記念日(11月3日)にはマリオネット劇場、図書館クイズ、フリーマーケット、触合いコンサートなどが行われる。

2)ブックスタート事業として、乳児相談と1歳半検診時にブックスタートパックをわたしている(毎月実施)、かつ事業としては、赤ちゃん、幼児、子ども向け以外に毎月1回プレママコースのお話し会を行っている。夏休みには前後7回にわたり子ども向け特別企画を組み、手作り会、映画界、図書館を使った宿題コンクールなどを行っている。
一方、研修室、講座室などの集会機能を持ったスペースは、図書館関係団体に限らず貸し出しを行っている。(一部有料)
3)自動車文庫は、30ポイントで貸し出しサービスを行っている。

4)学校との連携事業として、学級文庫への貸出しや自動車での巡回のほか、お話しの出前(15回)、ブックトーク(2回)、担当者連絡会議などを行っている。

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